私の不思議な体験

~実際に体験した不思議な出来事をご紹介しています~

塗れないペンキ

このお話は、もう25年ほど前のことです。

叔父(父の弟)の自宅(一戸建て)が大阪にありました。

当時、東京に住んでいた私は、夏休みを利用して実家のある大阪へ里帰りをしていました。

この日は、父親の弟(叔父)の家に集まって宴会となりました。

 

叔父「明日、家の壁を塗り替えるから手伝え」

叔父は、大好きな焼酎を片手に、久しぶりに会った私にそう言いました。その場には、叔父、私、私の父親の三人の他、親戚も集まっていました。

私「いいよ。でも、ペンキなんて塗ったことないけど大丈夫かな」

叔父「大丈夫だ。スプレーを買ってきて、パアーッと吹き付けるだけだから」

私「そんなんだ。分かった。じゃあ、手伝うよ!」

その晩は楽しい時間でした。

 

翌日は日曜日。

叔父が運転する車で、駅前にある金物屋へ行きました。

叔父は、この色が良いとか、あの色のほうが格好いいとか言いながら、スプレーを選んでいました。

叔父「黄色は派手すぎるか?」

私「一戸建てで、黄色はちょっと・・・」

叔父「そうか? 明るくていいと思うけどな・・・」

私「・・・」

叔父「じゃあ、オレンジはどうだ? キレイな色だろこれ?」

 

叔父はどうやら家の壁を明るい色にしたいらしく、私に黄色やらオレンジやら、赤といった色を聞いてくるのです。

私「一階の一部だけを塗るんでしょ? だったらオレンジでもいいんじゃない? 家の全体を塗るんだったら、世間体もあるから、お婆ちゃんたちも納得しないと思うけど・・・」

叔父「そうか? じゃあオレンジにしよう」

 

叔父の家には、お婆ちゃんも住んでいました。

また叔父の家は住宅街の中にあるごくごく普通の一軒家でした。

いくら自分の家だからといって、あまり奇抜な色のペンキを塗るわけにもいかないのです。

 

オレンジ色のスプレー缶を買って帰った叔父と私は、早速、玄関近くの壁にスプレーを向けました。

どういう経緯だったかは覚えていませんが、スプレーを振りまくのが私の役目となりました。

 

私「あれ?」

叔父「どうした?」

私「スプレー、出ないよ」

叔父「そんなことないだろう」

私の右手に握られているオレンジのスプレー缶・・・。

いくら人差し指で押してもビクともしない。

私「やっぱり出ないよ。不良品じゃない?」

叔父「貸してみろ。俺がやってみるから」

私は叔父にオレンジのスプレー缶を渡しました。

叔父「あれ? 出ないな」

私「でしょ? 壊れてるよ。このスプレー」

叔父「弱ったなあ・・・」

叔父は何度も人差し指でスプレー缶を噴射しようと頑張ってみましたが、結局、ダメでした。

 

私と叔父はまた車に乗り、駅前にある金物屋へと向かいました。

 

叔父「オヤジ! このペンキ、出ないぞ! 壊れてるじゃないか!」

金物屋「そんなことないでしょ? 貸してください」

叔父からスプレー缶を受け取った金物屋のオヤジは、スプレー缶を軽い手付きで噴射させました。

鮮やかな、オレンジの霧が舞いました。

叔父「・・・」

私「・・・」

金物屋「出るじゃないですか! 壊れてませんよ!」

叔父「さっき、使ったときは押しても何にも出なかったんだぞ!」

金物屋「そんなこと言われても、こうやって出るじゃないですか」

叔父「・・・」

私「・・・」

 

そのスプレー缶を握った私は、叔父の家へ向かう車の中で、あることを思い出しました。

それは、おばあちゃん(父親や叔父の実母)から昨夜、聞いた話です。

亡くなったおじいちゃんは、家を非常に大切にしていた。戦後、苦労をしたから、家を持つということの大変さを知っている。だから、今回の家の壁をペンキで塗ることをおじいちゃんは快く思っていないということを、おばちゃんは私に語りかけるように言っていました。

 

私は父親に「おばあちゃん、ペンキで家を塗ること喜んでないね」というと、父親は「おじいちゃん(父親の実父)の仏壇が、ここ(叔父の家)にあるからな。それにおじいちゃんは昔の人間だから、壁を塗り替えるなんてことには賛成はしないだろ」

 

 

叔父の家に再び戻った私と叔父は、もう一度、スプレーを家の壁に向けました。

どういう経緯か、また私がスプレーを噴射する役回りとなりました。

私「あれ?」

叔父「エ? また出ないのか?」

私「やっぱり、これ壊れてるよ」

叔父「そんなバカな」

私「だって、指で押したって、動かないから、ペンキなんて出てくる訳ないよ」

私からスプレー缶を奪い取った叔父は、力任せに人差し指でスプレーを押しましたが、まったく反応しませんでした。

 

私「どうするの? なんで出ないんだろう? 金物屋さんが押したら出たのに、なんでここで押すと出ないんだろう・・・」

叔父「わからん・・・」

 

そしてまた、叔父と私はスプレー缶を握りしめて、駅前の金物屋へと向かいました。

叔父「やっぱり、コレ壊れてるんじゃないのか? 反応しないぞ!」

金物屋「押し方が悪いんじゃないんですか?」

そう言いながら、金物屋のオヤジは簡単に、スプレー缶を押すとオレンジ色の霧を噴射させました。

私「・・・」

叔父「・・・」

金物屋「お客さん、勘弁してくださいよ。こんなに出るじゃないですか」

私「・・・」

叔父「・・・」

金物屋「もしよかったら、こっちの新しいのも持っていって試して下さい」

金物屋はそう言うと、別の同じオレンジ色のスプレー缶を渡してくれました。

 

私と叔父は、狐につままれた気持ちで、二本のオレンジのスプレー缶を持って、家へと帰りました。

 

私「家を塗るなってことじゃないの?」

叔父「どういうこと?」

私「おじいちゃん、家を凄い大事に思ってたから、余計なことをするな、って怒ってるんじゃないの? だから、スプレーが出ないんじゃないの?」

叔父「そんなバカな・・・」

私「・・・」

 

そして家へと戻った私と叔父は、懲りもぜずにまたスプレー缶を家の壁に向けました。

最初に買ったスプレー缶は・・・

やはり反応なく、出ませんでした。

 

叔父「金物屋に貰った新しいスプレーは? それはさすがに出るだろう?」

私は、もう一本のスプレー缶を人差し指で押してみました。

「おじいちゃん、ごめんね」と心の中で謝りながら・・・。

 

でも、

出ませんでした。

そして・・・

まったく反応しないオレンジ色のスプレー缶二本が残っただけでした。

 

結局、家を塗るという計画は.頓挫し、その晩は、叔父と私でおじいちゃんの仏前に線香を手向け、静かお酒を飲んで終わりました。

 

いったいあれは何だったのでしょう。

霊体験の多い私ですが、すごく印象に残る出来事でした。

 

おじいちゃんからしてみたら、

家の壁をペンキで塗るなんて、驚天動地だったのでしょうね。

壁の一部分だけを塗るということなので、大したことじゃないと思っていたのですが、おじいちゃんからしたら、問題外だったのでしょう。

あれから25年の年月が流れましたが、今も変わらないまま、叔父の家は建っています。

 

霊のチカラの存在を再認識した出来事でした。

 

 

 

 

このBlogに記した内容はすべて真実です。

嘘、偽り、誇張は一切ありません。

執筆者である私が責任を持って断言いたします。

 

 


思い出日記ランキング